FEATURES

Focus on

癒やしと活力を与えるホテルで、大阪の旅をアップグレード

テーマ:ホテル阪急グランレスパイア大阪_内装デザイン

癒やしと活力を与えるホテルで、大阪の旅をアップグレード

グラングリーン大阪に誕生する主要ホテルのひとつ「ホテル阪急グランレスパイア大阪」が2024年度下期の開業を目指し、着々と準備を進めている。開発事業者の担当者・近國宗人さん、設計担当の高婧さん、内装デザインを手掛ける株式会社GARDEの室賢治さんに話を伺った。

右から オリックス不動産うめきた開発推進室ヴァイスプレジデントの近國宗人さん、日建設計プロジェクトデザイナーの高婧さん、GARDE代表取締役社長の室賢治さん。

ウォルドーフ・アストリア大阪、キャノピーby ヒルトン大阪梅田とともに、グラングリーン大阪の主要ホテルのひとつとなるホテル阪急グランレスパイア大阪(以下、グランレスパイア)。阪急阪神ホテルズが運営する「レスパイア」ブランドのアップスケールホテルだ。国内外から大阪を訪れる利用者にとっては、2つの外資系ホテルと並んで選択肢の幅が増えたと近國さんは言う。「3つのホテルはそれぞれに個性的な特徴を備えているので、旅のシーンやスタイルに応じて使い分けてもらえればと思います。すべてのホテルに共通するのは、公園を中心としたグラングリーン大阪での体験を大切にしている点です」

すでに大阪には同系列のホテル阪急レスパイア大阪が開業しているが、グランレスパイアはさらに上質な快適さを追求していると近國さん。「レスパイアとはRESTとINSPIREの造語で、“癒やしと活力”を提供するという意味が込められています。このホテルはJR大阪駅のすぐ隣という、大変便利な立地にあります。駅の喧騒を抜けて公園を通り、南街区賃貸棟・サウスタワー5階のロビーへと至るアプローチにおいても、ゆったりとした気持ちになれる演出がなされています。ホテル内には豊かなグリーンを配して、観光を終えた方たちが心からリラックスできる空間となっています」

「その日の気分や、旅の目的に合わせて、ホテルを選んでほしい」と話す近國さん。

ホテルのコンセプトは「都市の中で安らぎを感じられる居心地の良さ」。これを具現化するべく内装を担当したのが、さまざまなラグジュアリーブランドの設計・デザインを手掛けているGARDEだ。代表の室さんはデザインを考えるとき、周囲とのつながりを大切にしたという。「約4.5ヘクタールという巨大な都市公園の中に位置し、低層部にはスパ施設があり、駅のすぐそばという立地において、利用者の動きを考慮しながら、安らぎをキーワードにデザインしました。とくに1階のエントランスから客室へ至る空間では、オンとオフの切り替えができるようスムーズな動線を心がけています」

1階にあるホテルエントランス。壁面を覆うグリーンと落ち着いた木目調の建具意匠がゲストを迎える。
客室は約23㎡を中心とする全482室。大きな窓が、開放的でゆったりした時間を演出。

安らぎを演出するために心がけたのは「引き算のデザイン」だという。「過度な装飾は避け、あえてデザインを語る要素を削ぎ落としました。こだわったのはカラースキムと素材、植物、自然光の4点。例えばロビーやラウンジ、クラブフロアに使うレースのカーテンは、レース素材をアースカラーのグラデーションで染めています。これによって自然光が入った時に独特のニュアンスが出るとともに、時間帯によって部屋の印象が変わっていくのです。天井や壁、床もアースカラーを基調とし、ゲストが自然体でくつろげる居心地の良さを細部にわたって追求しています」と室さん。

すべての客室に大きな窓を採用しているため、開放感は抜群だと室さんは続ける。「天井から床までの大きな窓は部屋を広く見せる効果があります。低層部のスパから部屋に戻ってきたときも、窓からのビューが心身を癒やしてくれると思います」

「安らぎやウェルビーイングを考えたとき、デザインは自然と引き算の方向になった」と言う室さん

一方、設計を手掛ける高さんは、ホテルの外装においても周囲の環境を重視したという。「これまでにも公園の中にある建物を手掛けてきましたが、その多くがパーク・イン・ザ・シティ(都市の中の公園)という考え方でした。ですが、ここグラングリーン大阪では、街区全体のコンセプトであるシティ・イン・ザ・パーク(公園の中の都市)の考えからスタートしました。緑の中のくつろげる空間、というコンセプトは建築においてもデザインにおいても一致していると思います」

JR大阪駅からのアクセスも抜群の立地。外観には大地からの隆起を彷彿させるアースカラーのグラデーションをつけることで、グラングリーン大阪の街区を構成する公園との一体感を演出した。

公園を中心に考えたホテルづくりは、内装においても外装においても共通の考え方に根ざしているものだと高さん。「建物全体が、大地から隆起してくるというようなデザインコンセプトで設計しました。フルハイトサッシを使用することで空間の解放感につなげています。サッシはアースカラーのグラデーションを邪魔せず、かつ引き立てるラグジュアリーなステンカラーを使用することで、ホテルの高級感にも寄与しています。GARDEさんは自然光による色のゆらぎを内装で表現されていますが、私たちは外装でこれを表現したい。一方、建築物としての構造は無駄のないスマートなプロポーションが特徴で、周囲の建築物を引き締める役割を果たしている。さりげなく公園に佇むイメージを目指しています」

「グラングリーン大阪という街区全体で、オンとオフの切り替えがスムーズにつながるように設計しています」と話す高さん。

観光やエンターテイメント、ビジネスなどでさまざまな体験をした人たちが、しっかり疲れを癒やし、エネルギーチャージしてくつろぐ。ホテルのあるべき機能に立ち返りつつ、新時代にふさわしい“洗練さ”でゲストを迎えるグランレスパイアで、新しい大阪を発見したい。

写真・藤本賢一  文・久保寺潤子

Back