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グラングリーン大阪で初となる、王宮をコンセプトにした分譲マンション

テーマ:北街区分譲棟

グラングリーン大阪で初となる、王宮をコンセプトにした分譲マンション

JR大阪駅前に誕生するグラングリーン大阪は、道路を挟んで、商業施設やオフィスなどで構成される南街区と、産学官民交流拠点となる中核機能施設などで構成される北街区に分かれる。滝や池の水景が楽しめる自然豊かな北街区で初めてとなる分譲マンションが「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE(ザ ノース レジデンス)」だ。みどり豊かな新しい街に調和する住まいとはどのようなものなのか? 開発事業者と、設計・デザインを担っている設計担当者に話を聞いた。

左から、古山明義さん/株式会社日建ハウジングシステム(大阪代表 理事 設計部 部長)、岩田成光さん/積水ハウス株式会社(大阪マンション事業部 事業開発室)、辻岡壮亮さん/積水ハウス株式会社(大阪マンション事業部 設計室)、立本良さん/株式会社竹中工務店(大阪本店 設計部 設計第2部門 設計1グループ長)

取材を行ったのは、「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE(以下、ザ ノース レジデンス)」のマンションギャラリー。4階の共用スペースとなるコリドールは、壮麗なシャンデリアとシンメトリーな石柱が印象的に配置された空間だ。同レジデンスのデザインコンセプトについて、株式会社日建ハウジングシステムの古山明義さんが説明してくれた。
「ザ ノース レジデンスのコンセプトは“THE PALACE”です。2013年に竣工したグランフロント大阪のオーナーズタワーのコンセプトは、ホテルライクではなくホテルを目指すという意味合いで「THE HOTEL」でしたが、今回は“次代の王宮「THE PALACE」”としています。 都市公園の北側の奥まった静かな立地に、18世紀後半ヨーロッパで広まったネオ・クラシック(新古典主義)を基調にした、時代や流行に左右されない普遍的な美を持つ空間をプランニングしています」

「Park Frontの住宅はこれまでもありますが、我々が手掛けているのは“In the Park”、まるで公園の中に住むようなイメージとなる住宅で、このような住宅は世界でもあまり例がないのではないかと思います。希少性が高く価値の高い住居は、大阪だけでなく日本の先鋭的な事例となるはずです」と日建ハウジングシステムの古山さん。
4階のコリドール。古典建築を再解釈したネオ・クラシック(新古典主義)を彷彿とさせるシンメトリーな石柱。天井高は6mあり広々とした迎賓空間だ。

大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の規模となる、自然豊かなうめきた公園が眼前に広がるロケーションということもレジデンスの大きな特徴だ。うめきた公園の存在がレジデンスの非日常性を高めていると積水ハウス株式会社の辻岡壮亮さんが話す。
「住戸プランや共有部のデザインだけでパレスを表現しているのではなく、外観や外構計画を含め、すべてを統一したコンセプトで構成していくというところが大きな特徴となっています。公園のリードデザインを手掛けたランドスケープデザイン事務所のGGNにこのレジデンスの外構部分もデザインをお願いしており、公園から連続したみどりのつながりを感じていただけるつくりとなっています」

「グラングリーン大阪という壮大なプロジェクトに携わるに際し、レジデンスでもこれまでになかった新しい技術を提案し、街の魅力向上につなげたいという思いで取り組んでいます」と積水ハウスの辻岡さんが意気込みを語る。

GGNは、大阪が水の都だった歴史を紐解き、“大阪本来の豊かに潤った大地”というテーマでうめきた公園をデザインしている。そのテーマ性は「ザ ノース レジデンス」においても同様で、街のコンセプトを大切にしていると辻岡さんが続ける。
「建物の周囲には水盤が設けられているので、うめきた公園から連続して水の存在を感じることができます。また、4階にある屋上庭園にも水盤を配置して、街のコンセプトを踏襲しています」

屋上庭園を抜けた先にある4階のガーデンラウンジ。白を基調とした内装で天井のトップライトから降り注ぐ自然光のなかで400㎡を超える広大な庭園の景色を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせる。

デザインコンセプト「THE PALACE」をイメージし、次代の王宮をテーマに導き出した住⼾プランは、まず1フロア1,000㎡のプランを構想することからスタートしたという。積水ハウス株式会社の岩田成光さんは「一般的なマンションではあまり例のないこと」だと前置きをしつつ、説明をする。
「パレスらしい間取りや設備とはどういったものなのか? まずは、1フロア1,000㎡のプランをコンセプトに、さまざまな規模に応じて、コンセプトプランの要素を簡素化し踏襲させました。その話し合いの中で生まれたアイデアを絞り込んで採用した住戸が、大階段を持つメゾネット住戸や、カーギャラリー付き住戸です。愛車をカーエレベーターで邸宅まで運び、自宅のリビングで愛でることができる設備を導入しました」

愛車をカーエレベーターで邸宅に運ぶことができリビングで鑑賞する、日本では珍しいカーギャラリーを備えた住戸。
「今回、我々に課せられたミッションは、西日本最大のターミナル駅直結の都市公園を望む今までにない住まいをつくること。絶対に成功しないといけないという気概で取り組みましたし、期待に応えられるものがご提供できたと思います」と積水ハウスの岩田さん。

王宮らしい気品と格調を湛えた空間。たとえコンパクトな部屋であってもコンパクトらしからぬ間取りを意識したという。それを象徴するひとつが玄関ホールだ。
「通常の玄関は効率性の観点から言えば、面積に合わせて大きさも決まりますが、このレジデンスではすべての住戸の玄関にホールを設けています。屋敷などの建物では、お客さまを迎える間が存在することから、ザ ノース レジデンスでもそうしたお客さまを迎える空間を設けています。また、玄関ドアには両引きのシンメトリーなオートスライドドアを採⽤することで、高級感とともに新しい技術も取り入れた玄関を形作りました」

ザ ノース レジデンスのデザインを考えるにあたり、重要視したのは“間”であると株式会社竹中工務店の立本良さんは言う。
「たとえば4階には水盤の先にガーデンラウンジがありますが、最短でラウンジに到着するようなアクセスにはせず、ゆっくりと向かうための通路をわざと設けています。これは合理性とは真逆の観点ですが、明るい空間から水辺へと次の空間に行く、その変化の過程をじっくりと味わうためだけの通路です。通路を歩くだけで気持ちを落ち着かせたり昂らせたりと、そこに至るまでにどれだけ感動を与えられるか? それをインテリアでコントロールできるように、数多の議論を交わして形にしています」

「これまで大阪はみどりが少ない街という印象があったと思いますが、グラングリーン大阪が誕生することで、みどり豊かな街であると世界に発信するチャンスだと思っています。このまちづくりに携われたことを光栄に思います」と竹中工務店の立本さん。

ザ ノース レジデンスの設計は、竹中工務店と日建ハウジングシステムがタッグを組み、協働で担当している。両社が協働することで、どのような相乗効果を得られたのだろうか? この問いに立本さんが答える。
「竹中工務店は大きいプロジェクトを得意としています。時間をかけて積み上げた作品づくりにかける技術力、それを支える高い設計力。それに対し、日本主要都市での実績が多い日建ハウジングシステムの情報量や柔軟性、豊富なアイデア、この二つの要素が協業し、このプロジェクトに対する新たなチャレンジを生み出し、実現へと導く事ができました」

一方、古山さんは「竹中工務店設計部門の建築・構造・設備・環境をはじめとするさまざまな専門性に加え、技術研究所などの幅広い専門性を結集し、協業できたからこそ、このプロジェクトは実現できている」と太鼓判を押す。「カーギャラリーに関しても、構造や防音は大丈夫なのか、しっかりとした技術の裏付けがあってこそ可能でした。そうしたお互いの強みを生かし合ってこれまでにないレジデンスをつくることができるのだと思います」

いよいよ今年9月に先行まちびらきを迎えるグラングリーン大阪。うめきた公園を中心にオフィスや商業施設が点在し、そこでは、働く、憩う、集うなど多様なシーンが繰り広げられていくだろう。そして、それらの選択肢のなかでも公園とともに“暮らす”という贅沢を享受できるのがザ ノース レジデンスの最大の魅力だ。
「人が住むということは、まちづくりで最たるものです。ホテルや商業施設、オフィスのように常に人が入れ替わることはなく街が真に活気づくからです。こうした大規模な開発区域に住居をつくること、その本質的な問いに、ザ ノース レジデンスはしっかりとお答えできたのではないかなと自負しています」と立本さんは締めくくる。

みどりに溶け込みながらも威風堂々たる王宮のようなレジデンス。グラングリーン大阪のポテンシャルを引き出し、新しい街を代表する顔になるに違いない。

写真:内藤貞保 文:脇本暁子

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