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公園のみどりと一体となる、まったく新しい商業ゾーンの魅力とは

商業施設「ショップ&レストラン」

公園のみどりと一体となる、まったく新しい商業ゾーンの魅力とは

百貨店や商業施設が軒を連ねる日本最大級の商業集積地・梅田。2024年9月より順次開業を迎えるグラングリーン大阪に、新しい形態のショッピングエリアが誕生するという。広大なみどりを有する都市公園と一体となった商業ゾーンとはどのようなものなのか。その魅力について、担当事業者に話を聞いた。

左前から、奥土恵さん/阪急阪神不動産株式会社(開発事業本部うめきた事業部 副部長)、金部耕平さん/阪急阪神不動産株式会社(開発事業本部うめきた事業部 うめきたグループ 課長補佐)、 桃田雅存さん/阪急阪神ビルマネジメント株式会社(テナント開発部 次長)、城戸美有紀さん/阪急阪神ビルマネジメント株式会社(テナント開発部 リーシンググループ 係長)

グラングリーン大阪に誕生する商業施設「グラングリーン大阪 ショップ&レストラン(以下、S&R)」は、都市公園、南街区、北街区の3ブロックにわたって、それぞれ公園内施設、南館、北館として展開される。2025年春頃に開業する南館には、アジア初進出となる、編集者がキュレーションした食と文化を一堂に体験できるフードマーケット「Time Out Market Osaka」をはじめ、天然温泉やインフィニティプールを備える関西最大級の都市型スパなどが入店。その開業に先んじて、今年9月の先行まちびらき時にオープンするのが、公園内施設4店舗と北館15店舗だ(2024年9月時点)。

グラングリーン大阪の商業ゾーンのコンセプトは“ENRICH”。その意図について阪急阪神不動産の奥土恵さんはこう説明する。
「“ENRICH”とは、豊かにする、質を高め深めるといった意味の言葉ですが、単に物質的な豊かさだけではなく、心の充実や人生を豊かにすることを指しています。昨今は、インターネットを通じて商品の購入から食事の配送まで済ませてしまえるなかで、お店にまで足を運んでいただくお客様に対して、この空間に来ることで気持ちが豊かになっていただける、ひいては人生が豊かになるきっかけを与えられるというような+α(プラスアルファ)のサービスを提供できるような商業施設にしていきたいと思っています」

「『S&R』のプロジェクトは、単なる商業施設の開発ではなく、梅田エリア全体の価値を高め、新しい梅田での過ごし方を提案する開発プロジェクトですし梅田だけでなく大阪全体の価値を変えていくポテンシャルがあると思っています」と奥土さん。
グランフロント大阪開業以来、うめきた2期開発に携わってきた金部さん。「日常や非日常のなかで、人々の記憶に残る商業施設となるようにと、プライドを持って開発を進めてきました」

コンセプト決定に至るまで、事業者の間では「この商業施設がどのような存在であるべきか?」について何度も議論を重ねたという。そのなかで、商業施設を訪れた人同士が交わっていける仕掛けづくりも大切であると感じたと話すのは、阪急阪神不動産の金部耕平さんだ。
「商業施設として、お客様に新しい価値を提供する先進的な取り組みをしていくことはもちろん重要です。それに加えて、この『S&R』では、これまでの商業施設ではあまり実現できなかった、人と人がつながるコミュニティの醸成も都市公園の機能を通して実現していきたいと考えています」

商業施設がコミュニティを醸成していくといった背景には、大阪が住みやすい街だと世界に注目されていることにある。イギリスの経済誌である『エコノミスト』がまとめた「世界の住みやすい都市ランキング」において、大阪はアジアで唯一のトップ10入りを果たしている。とくに梅田は都心で利便性がよく、住宅供給も増え人口も増加傾向にあるのだ。
「梅田はもともと買い物に訪れる街というイメージでしたが、この10年ぐらいで高層マンションも増え、住む街へと変貌しつつあります。グラングリーン大阪においては、まちの中心に都市公園があるという国内でも類を見ない新しい空間です。そうした意味でも、コミュニティに根差した新しい形の商業施設をつくり、居心地のよいサードプレイスとしての場として使っていただきたいと思っています」と「S&R」の構想を語るのは、阪急阪神ビルマネジメントの城戸美有紀さんだ。

「目的なく来ていただいても楽しめる街になるのではないかなと、私自身ワクワクしています。我々からも提案はさせていただきますが、自分なりの過ごし方をお客様に見つけていただきたいです」と期待感を滲ませる城戸さん。

では、みどりと一体となった商業ゾーンにはどのようなテナントが入るのだろうか。今年9月にオープンする公園内施設や北館にできる店舗の特徴について、城戸さんが続けて説明する。
「公園内施設では、公園のみどりを感じながら食事を楽しむことが出来ます。また、そのほかにも、DIYを楽しめる店舗だったり、公園内で食べられるように軽食をテイクアウトできる店舗が複数あったりと、パークライフを日常的に体現できるような店舗を揃えています」

また、日常的な楽しみだけではなく、非日常も楽しんでほしいと金部さんが話す。
「パークライフと言っても、日常と非日常の二軸を意識しています。非日常なシーンでいえば、公園内に誕生するガーデンレストランは、“自然と都市”を感じられるロケーションが魅力です。その一棟を貸し切って行うウエディングパーティーは、これまでにない非日常感を楽しむことができるでしょう。建物のデザインも屋内外が一体に感じられるようになっていますので、この空間でしか味わえない貴重な体験ができると思います」

「グラングリーン大阪には公園、ホテル、カフェなどたくさんの要素がありますが、そのなかから興味を持ってお越しいただき、お買い物にたどり着く先が商業施設であることがベストだと思っています」と桃田さん。

日常に溶け込むような場所として、また一生の思い出づくりの場所として、これまでにないさまざまな体験ができる「S&R」。ここでの買い物体験について、公園のなかを散歩するように巡ってほしいと阪急阪神ビルマネジメントの桃田雅存さんが話す。
「『S&R』の買い物体験コンセプトは『OSAMPO with Green』です。うめきた先行開発区域であるグランフロント大阪ショップ&レストランもOSAMPOがテーマとなっていて、ロゴについても、両施設でつながりを感じられるようにしています。グラングリーン大阪には、うめきた公園をはじめ、SANAAが手がけた大屋根施設や安藤忠雄さんが設計監修を手がけたミュージアム「VS.」など、ランドマークとなる建物が多く存在します。それらを散策する感覚で、商業施設についても回遊してほしいと思っていますし、そうしたライフスタイルを提案していきたいと思っています」

颯爽と歩く女性のシルエットが印象的なロゴマーク(左側がグランフロント大阪S&Rで、右側がグラングリーン大阪S&R)。グラングリーン大阪S&Rのロゴに描かれたゆるやかなS字状の曲線は、公園の南北をつなぐデッキ「ひらめきの道」をデザインしたもの。

2024年9月の先行まちびらきまで、いよいよ半年を切りオープン目前となってきた北館と公園内の商業施設「グラングリーン大阪 ショップ&レストラン」。「お客様、テナントの入居者様、そして事業者と、三位一体になってつくりあげていく新しい商業施設は、まちびらきを迎えてからが本当のスタートです。我々も開業に向けてモチベーションを高め、良い形で今秋の先行まちびらきを迎えることができるのではないかと思います」と自信をのぞかせる金部さん。

大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の規模を誇るうめきた公園のみどりに包まれるこれまでにない商業ゾーン。さまざまな新しい過ごし方ができる空間に期待が高まる。

写真:内藤貞保 文:脇本暁子

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