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世界に発信する、ウェルネスをテーマにした新しい都市型スパ

関寛之

世界に発信する、ウェルネスをテーマにした新しい都市型スパ

うめきた2期に都市型スパが誕生する予定だ。ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドや神戸みなと温泉 蓮を経営する株式会社ラスイート代表取締役社長の関寛之さんに、ウェルネスをテーマにした新しい都市型スパの全貌について話を聞いた。

天然温泉のほかマイクロナノバブルバスや高濃度炭酸泉など多彩な温浴ゾーン。神戸みなと温泉 蓮の地下1,150mから湧き出た源泉を運び、うめきた2期の都市型スパでも天然温泉を提供する。

日本で初のスモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド™ (SLH)に認定されたホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドを運営し、2015年には神戸港の地下1,150mから湧き出た源泉を持つ天然温泉旅館と日帰り温泉施設の神戸みなと温泉 蓮(以下、蓮)をオープンさせたラスイート。うめきた2期の南街区に商業ゾーンの核となるテナントとして、関西最大級となる約6,000㎡の広さの都市型スパを出店することが決定している。

「いわゆるスーパー銭湯のようなレジャー施設ではなく、ウェルネスを発信していく拠点となります。蓮は、厚生労働省認定の「温泉利用型健康増進施設」です。全国に23カ所しかなく(令和2年12月28日現在)、京阪神エリアではここだけです。今回新しく誕生する都市型スパは、大阪府で初の認定を目指しており、蓮がこれまで蓄積してきたノウハウをベースにして、さらに進化させたものにしていきます」

ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドで、現在計画を進めている都市型スパについて説明する関寛之さん。

新たに誕生する都市型スパでは、健康をテーマに3本の柱を打ち出していく。ひとつは「温浴ゾーン」。神戸港の地下1,150mから湧き出た蓮の源泉を使用した天然温泉では、温泉療法専門医や大学機関と提携した健康増進プログラムを計画中。温泉に浸かりながらメタボリックシンドロームや高血圧の改善、免疫力向上など症状別に健康と美容に特化したプログラムを予定している。

温泉のほか運動や食を通じて、身体と心の健康を増進するサロンを併設。医療機関と提携し、提携医による入浴と運動を効果的に組み合わせたプログラムを提供する。
都市公園を望むインフィニティープールは一年中利用でき、大阪の新たな名所となりそうだ。

第2の柱が「運動ゾーン」。ARを使った最先端の映像と音響を駆使した25mの本格的フィットネスプールを設置する計画だ。フィットネスクラブのマシーンもAIと連動し、その人に合わせたプログラムを自動的に提案していく。
「ARとVRの業界は日進月歩。ものすごいスピードで進化しています。現在想定している技術が、開業時に通用するとは限りません。常に最先端技術に注目して柔軟に活用していくつもりです。また緑あふれる都市公園を眼下に望むインフィニティープールもつくります。こちらは季節を問わずに365日利用できる屋外温水プールで、水流を使ったジェットマッサージも設置する予定です。水流を使うと指圧よりも身体への負担が非常に少なく、腰痛の方や筋肉が固まった方にもおすすめです」

ARを使った最先端の映像と音響を駆使した25mの本格的フィットネスプール。イルカや熱帯魚と水中を一緒に泳いでいるかのような幻想的な空間を創出する。

最後が「食の健康」だ。蓮でも和食を中心にした健康食を提供しているが、さらに健康や美容のためのメニューに特化し、高血圧、高血糖など症状に合わせたメニューを提供していく。
「ウェルネスツーリズム、ひいてはメディカルツーリズムの拠点となりえる場所として、世界に注目されるスパ施設をつくりたいと思っています。もちろん日本人だけでなく外国の方々もターゲットにしています。スパの目の前には国際会議や見本市が開催されるMICE施設があり、関西国際空港から電車で直通となる予定の利便性の高い立地です。来日した海外の方に、温泉を楽しんでもらうと同時にメディカルチェックもできるよう計画しています。いずれは、大阪へウェルネスツーリズムのために来日する、そうした次世代の来日目的の拠点となる場所をつくることを目指しています」
国内外問わず多くの人々に愛され、幅広い層が利用しやすい満足度の高いサービスを提供していく予定だ。

「大人がリラックスできる空間をつくりたいと思っています。もともと我々はホテル業からスタートしているので、多言語でのサービスにも当然対応できます。また、ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドの総支配人である檜山和司はレストランサービス業界で全国初となる黄綬褒章を受章し、メートル・ド・テルコンクール初代優勝者でもあります。ホテルでは檜山を筆頭に非常にホスピタリティの高いスタッフがそろい、70室のゲスト一人一人に対し心の通ったサービスを提供しています。こうした一流ホテル仕込みのハイクオリティなサービスを、新たに誕生する都市型スパでも提供する土壌はすでに整っているのです。うめきた2期地区の周辺施設とも相互に連携し、街全体が健康都市として日本のランドマークとなると確信しています」
最先端技術をそろえた設備と、日本ならではのおもてなしの精神が根付いた新しい都市型スパは、街全体が相互に連携し、健康かつ幸福に暮らせるウェルネスシティとしての布石となるだろう。

関 寛之(せき・ひろゆき)
早稲田大学理工学部建築学科卒業後、大成建設に入社。1999年に独立し一級建築士事務所を開業。2005年に株式会社ラスイートを設立、2008年ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド開業、2015年神戸みなと温泉 蓮開業。一級建築士、一級建築施工管理技士、ビル管理士、宅地建物取引士。

写真:内藤貞保 文:脇本暁子

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